親の暴言は子どもの脳を傷つける
暴言は聴覚野の一部を肥大化させる
親から暴言を浴びせられるなどのマルトリートメントを受けた経験を持つ子供は子どもは、過度の不安感、おびえ、泣き叫ぶなど情緒の障害、うつやひきこもりなどの症状を示す場合がある。
最近の研究によって、暴言によって脳の聴覚野の一部が肥大化することがわかった。
一人の親から暴言を受けるよりも、両親からの暴言を受けた方が影響が大きく、
父親からの暴言を受けたより、母親から暴言を受けた方が影響が大きいことがわかった。
1人よりは2人から暴言を受けた方が影響が大きく、子どもと接する時間が長いと考えられる母親から暴言を受けた方が影響が大きい。
暴言の程度が深刻、かつ頻繁であればあるほど、脳への影響も大きい。
聴覚野は言語にかかわる領域で、他人の言葉を理解して会話をするなど、コミュニケーションに関わっている。
肥大化はなぜ起きる
脳の一部分の肥大化がなぜ起きるか、それは脳の発達のプロセスが関わっている。
興奮を伝える役割をするシナプスが爆発的に増えるのは、乳児期で成人の1.5倍だといわれる。
その後、代謝が活発になるため、脳の中では木々の剪定のように余分なシナプスが刈り込みが行われる。
余分なシナプスを刈り込むことで、神経伝達を効率化していく。
この神経伝達を効率化するという大切な時期に、言葉の暴力を繰り返し浴びると、正確な刈り込りみが進まない。
その結果、シナプスが伸び放題の雑木林のようになり、容積が増えると考えられる。
研究の結果、聴覚野への影響が顕著にみられたのは、4~12歳のころに言葉のマルトリートメントを受けた人たちであり、刈り込み時期と重なる。
脳の発達の初期段階は、遺伝子でほとんど決定されるが、その後の発達過程では環境の影響が加わる。
脳の発達には、遺伝子と環境が相互に作用しあう。
シナプスが適度に刈り込まれないと
シナプスがうっそうと茂ったままになっていると、何が起きるのか。
人の話を聞き取ったり、会話をしたりする際に余計な負荷が脳にかかってしまう。
そのために心因性難聴となって情緒不安を起こしたり、人と関わること自体怖れるようになってしまう。
暴言などのマルトリートメントの例
・「バカだ、クズだ」とさげすむ。
・差別や脅し・罵倒をくりかえす
・「おまえなんかうまれてこなきゃよかったのに」
・「あんたがいなかったら結婚もしなかったのに、こんな苦労もしなかったのに」
・「本当に何をやらせてもだめだ、死んだほうがましだ」
・子どもの存在そのものを否定する言葉、
・兄弟比較、親類の悪口…
これらの暴言の頻度が多いほど脳に与える影響は大きい。
参考書籍
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