毒親(発達障害)と生きる

共感・肯定ゼロ 否定と操縦の子育てからの回復

反応性愛着障害と発達障害 

 

愛着障害の症状

反応性愛着障害とは5歳未満に始まった対人関係の障害で、中核症状は自分のイライラや不満を調節する力がないこと・対人関係が築けないことだが、もう少し詳しく見ていこう。

愛着障害の症状についての研究が進んだのは最近(1990年以降?)で、日本では愛着障害に関する書籍もまだ少ない。

以下は「子を愛せない母、母を拒否する子」ヘネシー・澄子 を元にしているが、どれか一つの特徴が当てはまったからといって、愛着障害だというわけではない。

また、この本は幼い子を持つ母親に向けて書かれているので、主として5歳くらいまでの子どもの症状を中心にしていると思われる。

 

感情面  愛されない不安感で絶えずイライラ

・孤独感・疎外感を持っている

・脳内の緊張が高くいつもイライラしている かんしゃくを起こしやすい

・一度泣きだしたら、なかなか自分で泣き止むことができない

・心から楽しんだり、喜んだりできない

・生活パターンの変化に適応できず、パニックを起こしやすい。

・未来に絶望を感じている

 

行動面 自分を愛そうとする人に向ける絶え間ない攻撃性

・過度の刺激を求める 破壊行動をよくする。

・衝動や欲求不満に自制がきかない。

・愛そうとする親や権威のある人に攻撃的、挑発的である。

・自分のしたことに責任を持たず、他人に責任を転嫁する。

・攻撃的で、動物や自分より弱いものに残酷である。

・自虐的で、自傷行為をする。

・食べ物を隠してためる、暴食、過度の偏食、じっと座って食べられない。

・多動である。

 

思考面  自己否定、他者否定のマイナス思考

・自分に自信がない。

・自分自身、人間関係、人生に否定的考えを持っている。

・新しいことやリスクが多いことに挑戦できない。

・年齢相応な考え方ができない。

・因果関係がわからないために、常識が通用しない。

・忍耐力や集中力が低く、学習障害が起きることも

・パターンに固執し、柔軟な考え方ができない。

 

人間関係 支配ー隷属の結びつきが特に強い

・人を信頼しない

・人から情愛や愛情を受け入れず、自分も与えない

・倫理観の欠如から良心が育っていない

・見ず知らずの人に愛嬌を振りまき、まとわりつく

・平気で他虐行為を行う。

・自分の間違いや問題を人のせいにして責める。

 

身体面 身の回りの不潔さや、肉体の痛みに無頓着 

・年齢相応な体の発達が未熟で、小柄な子が多い。

・触られるのを激しく嫌がる。

・痛みに対して忍耐強い。

・自分に不注意で自傷的なので、けがをしやすい

・非衛生になりがち

 

道徳面・倫理観  盗み、非行など、社会のダークサイドに目を向ける

・自分を悪い子だと思っている

・愛することができないと思っている

・後悔や自責の念がなく、自分を社会の規範の外にいる存在だと思っている

 

 

愛着障害発達障害の違い

 愛着障害の症状を見ていくと、発達障害の症状と似ている点がかなり多い。

これについて「子どもの脳を傷つける親たち」 友田明美 から引用する。

 

臨床現場で「愛着障害と混同されがちなのが、自閉症や知的能力障害(知的発達症)などの発達障害です。

愛着障害は発達の遅れ、特に認知や言語習得の遅れを併発するため、症状からは発達障害と区別がつきません。

わたし自身も、診察に来た子どもの症状から、これは発達障害ではないかと診断に悩んだ経験が何度もあります。

たとえば反応性愛着障害では、自分の殻に閉じこもって他人と目を合わせないなど、自閉症に似た症状が見られることがあります。脱抑制型対人交流障害では、落ち着きがなく、物事に集中できないせいで、学習障害に発展するといった症状が出ることもあるため、ADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害との区別が難しい場合があります。

愛着障害発達障害(またはその逆)と診断し、それに基づいて治療を施しても一向に改善は見られません。なぜなら症状は似ていても治療法は同じではないからです。

 

中略

 

発達障害の子は、成長とともに症状が落ち着く傾向にあるのに対し、愛着障害は、適切なケアを施さないと症状が改善されないという点も見逃してはいけません。

 

著者の研究では、愛着障害の子どもが心が不安定になるばかりか、脳神経の一部においても正常な発達が阻害されることがわかっている。

結果、成人してからも健全な人間関係を結べない、達成感への喜びが低く、やる気も起きない、などの問題を抱えてしまうことになる。

 

 

マルトリートメント

別箇所からの引用も付け加えておく

 

現代では、愛着障害と診断されないまでも、マルトリートメントが原因で愛着の形成に何らかの問題が生じ、その後の対人関係や社会生活に大きな影響を与えるケースも増加してきています。

 

*マルトリートメント

日本語では不適切な養育と訳される。

虐待とほぼ同義であるが、子どもの心と身体の健全な成長・発達を阻む養育の全てを含んだ呼称。

大人の側に加害の意図があるかどうかにかかわらず、子どもに目立った傷や精神疾患が見られなくても、行為そのものが不適切であれば、「マルトリートメント」になる。

 

 

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