毒親(発達障害)と生きる

共感・肯定ゼロ 否定と操縦の子育てからの回復

大人のADHDの多くは大人の愛着障害か

 

 

大人のADHD発達障害ではなかった

 「大人のADHD」はここ最近、一般によく知られるようになった。

不注意や片付けができない、時間が守れないといった人が、精神科や心療内科の外来に訪れ、薬を処方してもらうようになった。

ADHD改善薬の処方数は急激に拡大しているようだ。

しかし、その状況に待ったをかけるようなことがわかってきた。

 

 ニュージーランド、ブラジル、イギリスの各都市で、長期間にわたって行われてきた3つのコホート研究(同じ年に生まれた全住民を追跡調査する研究方法で、因果関係を証明する最も強力な方法)の結果が相次いで報告されたのだが、その結果はいずれも「大人のADHD」とされるものが、実は児童のADHDとは似ても似つかぬもので、発達障害ではないということであった。

 

 つまり大人のADHDは、ADHDではなかったのだ。

 

 大人のADHDの大部分は、12歳以降に症状が始まり、むしろ年齢とともに悪化していた。それに対して、子どものADHDは、年齢とともに改善し、12歳までに,半数以上が診断基準から外れ、18歳までには、8割程度が良くなり、中年期までには、9割以上が診断に該当しなくなっていた。

 

 また、両者には明白な違いも認められた。子どものADHDは、圧倒的に男の子が多いのに大人のADHDでは男女差を認められなかったのだ。

 

 また子どものADHDは、認知機能や言語、記憶が弱い傾向があるが、大人のADHDはそうした低下はあまり認められなかった。

神経障害という点では、大人のADHDはずっと軽かったのだ。

 

 ところが、生きづらさという点では、大人のADHDの方がずっと深刻だった。彼らの生活は、遅刻やミス、散らかった部屋、借金、度重なる転職や離婚などで、混迷を極めていた。

 

 アルコールや薬物への依存、うつや躁うつ、不安といった精神的合併症も高頻度に認められ、交通事故や犯罪にかかわるリスクもずっと高かった。

「大人のADHD」を特徴づけるのは、障害が比較的軽く、能力的には恵まれているにもかかわらず、その生きづらさと人生の混乱ぶりという点では、はるかに深刻だという矛盾した事態だった。

 

死に至る病」あなたを蝕む愛着障害の脅威  岡田尊司

 

「 大人のADHD」の背景にあるもの

「大人のADHD」と児童のADHDは似ても似つかぬものという研究結果が海外でのいくつかの研究でわかってきた。

では、「大人のADHD」はどのような原因が考えられるのだろうか。

岡田尊司氏は、「大人のADHD」と愛着障害の症状が一致すると述べている。

 

 愛着障害は、頻度に男女差がないという点、さまざまな精神的合併症や困難を抱えやすいという点、神経レベルの障害がさほど重度でないにもかかわらず、生活での困難が非常に大きいという点、つまり障害と生きづらさの乖離という点でも、「大人のADHD」と呼ばれているものとよく一致する。

 

 そして、実際に臨床で、「大人のADHD」を疑って「来院する人たちの生活史を見ていくと、彼らが親との関係に苦しみ、虐待的状況に置かれてきたことが明らかとなることが、非常に多いのである。

 

 

「大人のADHD」の多くを大人の愛着障害がしめる

引き続き、引用する。

遺伝的要因が強い本来の発達障害は、早発性で、男児に多く、神経障害も強いという特徴があるのに対して、養育要因によるものは、遅発性で、男女差がなく、神経障害は比較的軽度であるということだ。

 愛着障害や不安定な愛着では、依存症や不安症、気分障害、反抗や非行、反社会的行動を生じやすいことが以前から知られていた。それらの合併症や問題行動は、大人のADHDとされているものと重ならないだろうか。

 こうしたもろもろの事実から、大きな可能性として浮上してきているのは、おとなのADHDなるものの一部を、大人の愛着障害が占め、もしかすると、その割合は、かなり高いということだ。

  

 

記憶

半世紀近く前、「ADHD」という概念はなかった。

私が発達障碍児に関わる中では、行動特徴の一つとしての多動はあった。

文字通りよく動き、部屋を抜け出して外に飛び出してしまう子もおり、危険が伴うので、常に気が抜けなかった。

そんな経験と感性があった私には「大人のADHD」はよくわからなかった。

 

自分のことを思い返すと、小学生の頃、親に「あわてもの」「おっちょこちょい」「落ち着きがない」「不注意」などと頻繁に言われた記憶がある。

自分の部屋(コーナー)の片づけもできなかった。

今でいえばADHDぽいのか。

けれど、親に前後の脈絡なしに、突然に怒られたり、過去のことまで持ち出して罵られ、あら探しされて攻撃されるのだから、落ち着いてもいられない。

遊びや活動に夢中になっている時に、突然、夕食の時間などの理由がないのに、何かをしろと命令されて中断させられたり。

親は結局、自分の快・不快で子どもを振り回していたと思うけれど、大人だってモンスタークレーマーやモンスター患者モンスター上司に対応するのは大変で、心を病むことすらある。

逃げ場のない子どもに、影響がないはずがないと思う。

 

*大人のADHDは、遺伝的要因によるものとされてきたが、環境的要因も指摘されるようになってきたようだ。

なるだけ全体の文意を損なわないように、下記の本から引用したつもりだが、正確に伝わるかどうかは自信のないところである。

気になる方は、引用元の下記の本をお読みくださるようお願いする。

 

 

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ムラサキツユクサ