背中のコリとボリヴェーガル理論
背中のコリと共に育った私
若い頃、普通に後ろを振り向けないぐらい、背中側がカチカチに凝り固まっていた。
そんな自分の背中の状態を全く気づいていなかった。
運動の類があまり得意ではなかったのは、背中が固まっていたせいもあるだろう。
背中がカチカチだと気づいたのは、仕事についてからだ。
実家で過ごしていた10代~20代の時よりも、アラ還の今の方が肩や背中が凝っていないと思う。
なぜ、そんなに背中側がそんなに固まっていたのか・・・
その原因は背中側の迷走神経の働きのためかもしれない。
腹側迷走神経と背側迷走神経
自律神経には、交感神経と副交感神経があるのはよく知られている。
交感神経 体を活動に適した状態にする神経
副交感神経 体をリラックスした状態にする神経
交感神経は体の活動を活発にさせるアクセル役で、副交感神経は体をリラックスさせ、回復モードにするブレーキ役とも言える。
ポージェス博士が提唱するポリヴェーガル理論によると、
副交感神経はさらに以下の2つに分けられる。
腹側(ふくそく)迷走神経 新しい系統
- お腹側の副交感神経で、表情や発声、首の回転などを支配する脳神経につながる神経
- 友好的なモードをつくり、人とのつながりを促すことでリラックスし他状態をもたらす。
- ヒトを含む哺乳類に発達した新しい神経
背側(はいそく)迷走神経 古い系統
- 爬虫類にもみられる古い神経系
- 消化、睡眠、排泄、生殖機能、体の回復などにかかわる。
- 背側迷走神経が過剰な反応を示すと、凍りつき(Freeze)の状態を引き起こす。
*人の脳には、古い皮質(脳幹など)と大脳新皮質と呼ばれる新しい皮質があり、進化の痕跡を明確に残している。
自律神経の系統にも、進化の痕跡が残されていることがわかってきた。
脊椎動物(爬虫類など)の時からの背中側の神経系統は基本的な生命維持の役割をする。
対し、お腹側の神経系統は、哺乳類として進化する時に獲得された。
他者と相互に影響を与え合い、協働することで、生き残るという力を獲得した。
危機や脅威に対する体の反応
危険な状況や脅威を感じると脳の興奮が増し、体は今の瞬間を生き延びることを優先するモードになる。
交感神経(アクセルを急に踏み込むように)が働き、身体活動が活発になり、逃げる、攻撃する、などの選択をする。
アクセルを踏んでも逃げ切れそうもない場合、背側迷走神経が働き、急ブレーキがかかり、活動停止(フリーズ・シャットダウン)する。
人以外では、爬虫類や動物の擬死がこの状態に当たる。
凍りついた子ども
幼い子どもが恐怖や脅威にさらされた場合、闘うことも逃げることもできない。
唯一できる方法は、凍り付き、フリーズである。
この状態は、副交感神経のうちの古い系統、背側迷走神経の働きが強まった状態である。
ボーっとすることが多い、記憶の抜け落ちが目立つ、無感情などがあり、危機を乗り切るためのより原始的な反応である。
フリーズして感情をなくすことで乗り切ってきた
私は小学生の頃、学校で皆が楽しく遊んでいても、その輪に自然に入れなかった。
何となく一緒にいて、行動しては見るものの、何が楽しいかよくわからなかった。
今でも、母を目の前にすると、無表情になる。
おそらく母の予測のできない行動、突然の怒りや罵り、突拍子もない命令にフリーズを多用し、感情をなくすことで乗り切ってきたと思う。
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