反応性愛着障害ー安定型・回避型・両価型・無秩序型
愛着のタイプのカギ
前記事で、愛着(アタッチメント)という概念が見出されてからまだ半世紀ほどした経過していないと書いた。
ボウルビイの共同研究者であったエインスワースは、愛着のタイプを分類し、愛着のタイプが生まれる要因として母親の接し方がカギを握っていることを解明した。
「安定型」の子どもの母親の特徴
高い感受性をもって子どもに応え、子どものニーズに合わせて対応を臨機応変に変える
子どもの危険な兆候を読み取り、泣くとすぐに抱っこして慰めるが、子どもが求める以上に抱き続けることはしない。
『子どもの安全基地」となる。
授乳、などスキンシップを楽しむ。
「回避型」の子どもの母親の特徴
「拒否と無関心」型
子どもが泣いたり、悲しそうな表情になると、母親の方から強く拒否すしたり、自分の殻の中に閉じこもる。
体を触れ合うことに、むしろ嫌悪感を抱く。
子どもの側は求めても無視されて応えてもらえないので、求めない反応が身についてしまう。
ときには母親に拒否されることに怒りの反応を示す。
「過保護・過干渉」型
近年、発見された回避型の要因は「拒否と無関心」とは逆の「過保護と過干渉」である。
本人の主体性やニーズに関係なく、一方的に与えられ、指図され続ける環境におかれ、主体性を持つことができなくなる。
その子にとって親は、安全基地というよりも、心理的支配という虐待を行う存在になる。
親から心理的支配を受けて育つと、他人というものを自分の自由を邪魔する煩わしい存在とみなすようになる。
周囲の人と物理的、心理的に距離をとることで、自分の安全と自由を確保するという行動パターンをとりやすい。
親が決定権を持ちすぎたので、自分の気持ちや意思に従って行動できず、自分の気持ちや意思が自分でもわからないということになることもある。
「両価型」の子どもの母親の特徴
「両価型」の子どもの母親は気まぐれなところやムラあり、子どもの求めに過剰に反応することもあれば、他のことに気をとられ全く反応しないこともある。
過剰反応する時も子どものニーズとズレを起こしやすく、見当はずれな方向に暴走して、子どもを不安にする。
下に子どもができたり、夫婦間のトラブルなどで、愛情や世話に急な落差が生じる時、子どもは不安になり、母親が応えてくれるまで過剰に要求することがある。
「無秩序型(混乱型)」愛着の母親の特徴
「無秩序型(混乱型)」は被虐待児がみせる典型的愛着パターンである。
母親と再会したときに、凍り付くように固まったり、強い当惑を見せたり、そっぽを向いたまま近づくという反応をする。
一瞬しか現れないので見落とすこともある。
子どもにとっては、愛着対象が同時に恐怖の対象であるという過酷な状況に陥っている。
子どもを虐待してしまう親の特徴は、精神的な病を抱えている、依存症がある、発達障害がある、に加え、被虐待経験がある、DVの被害者、などがある。
参考書籍